演習内容:
演習2を踏まえて、今度はUTM座標系のASTER画像を使用して、NDVIと輝度温度を計算し、同じUTM座標系のASTER DEMという標高データに重ね合わせる。
処理の流れ
これまでに演習してきた内容の応用なので、細かい手順はここでは示さない。特に必要な注意点を下記に示す。
演習1は大阪を中心とするETM+画像であり、今回使用するASTER画像は琵琶湖周辺の画像で、当然範囲が異なる。そのため、自分自身で範囲を設定する必要があるだけでなく、ETM+画像用とは異なるフォルダが必要になる。
まずフォルダの設定に関しては、LOCATION, MAPSET, DATABASEの指定において、下記の例のように設定してみよう。
「utm2」というLOCATIONを新規に作成
LOCATION: utm2 MAPSET: PERMANENT DATABASE: /home/student
次に範囲の設定について述べる。様々な考え方があると思うが、まずは範囲や画像解像度の情報が記載されている"data1.l3a.gh"というファイルを開いて確認しよう。この情報から大体の範囲を予想できるが、厳密な範囲はよく分からない。よって、
としても、画像を閲覧することはできる。この方法を採って、今回は下記のように設定してみる。
測地系の指定:
(中略) Enter Zone: 53(と入力してEnter) Is this South Hemisphere (y/n) [n] n(と入力してEnter) DEFINE THE DEFAULT REGION ====== DEFAULT REGION ====== | NORTH EDGE: 100 | | | WEST EDGE | |EAST EDGE 0 | |100 | SOUTH EDGE: 0 | ============================ PROJECTION: 1 (UTM) ZONE: 53 GRID RESOLUTION East-West: 15 North-South: 15
現在の範囲を表示させる方法
インポートした画像から範囲を取得する方法(例えば、vnir1という名前でインポート済みの状況を想定)
範囲が変更されたか確認
可視から熱バンドの変換係数が、佐賀大学の新井康平先生のPDFファイルに記載されている。こちらの情報を抜き出しておく。(本来は画像のヘッダファイルを参照すべきであるが、ここではこの表の値を用いて演習する)
DN値を放射輝度Rへ変換する式
R = (DN - 1) UCC UCC: Unit Conversion Coefficients(変換係数)
UCCの値 (W/m2/str/μm)
注意: バンドごとにHigh gainモードで観測されたか、Normal gainモードかは異なる。その情報はdata1.l3a.ghに記載されているので、ファイルを開いて確認しよう。
Band | High gain | Normal gain |
---|---|---|
1 | 0.676 | 1.688 |
2 | 0.708 | 1.415 |
3N/3B | 0.423 | 0.862 |
4 | 0.1087 | 0.2174 |
5 | 0.0348 | 0.0696 |
6 | 0.0313 | 0.0625 |
7 | 0.0299 | 0.0597 |
8 | 0.0209 | 0.0417 |
9 | 0.0159 | 0.0318 |
10 | N/A | 0.006822 |
11 | N/A | 0.00678 |
12 | N/A | 0.00659 |
13 | N/A | 0.005693 |
14 | N/A | 0.005225 |
輝度温度:観測物体と等しい放射エネルギーを放射する黒体の温度
黒体:観測物体と等しい放射エネルギーを放射する黒体の温度
(日本リモートセンシング研究会編「図解リモートセンシング」より)
式(1)がプランクの放射法則と呼ばれ、それを変形した式(2)を用いることで、黒体の絶対温度つまり輝度温度が得られる。
Bλ | 黒体の分光放射輝度 (W/m2/str/μm) |
---|---|
T | 黒体の絶対温度 (K) |
λ | 波長 (μm) |
c | 光速度: 2.988 × 108(m/s) |
h | プランク定数: 6.626 × 10-34(J s) |
k | ボルツマン定数: 1.380 × 10-23(J/K) |
ASTERの熱バンドの波長帯
(注意:下表のK1, K2の値は、単に演習用の数値として、波長帯の中間の値を代入して得られた値にすぎない。実際の各バンドのK1, K2の値とは多少異なる)
バンド | 観測波長帯 (μm) | 波長帯の中間 (μm) | K1: 2hc2/λ5 (W/m2/str/μm) | K2: hc/k λ (K) |
---|---|---|---|---|
10 | 8.125 - 8.475 | 8.300 | 3.00×103 | 1.73×103 |
11 | 8.475 - 8.825 | 8.650 | 2.44×103 | 1.66×103 |
12 | 8.925 - 9.275 | 9.100 | 1.90×103 | 1.58×103 |
13 | 10.25 - 10.95 | 10.60 | 8.84×102 | 1.35×103 |
14 | 10.95 - 11.65 | 11.65 | 6.42×102 | 1.27×103 |
輝度温度画像にカラーテーブルを作成してみよう。下記に一例が示してあるが、色の割当は自由に変更して試して欲しい。 画像と同じ名前で下記のファイルを作り、下記の場所に保存する。
保存先:
ファイルの中身:
% 0 300 0:0 270:0:0:0 280:0:0:255 280:0:0:255 290:200:200:0 290:200:200:0 300:255:0:0